価格交渉・価格転嫁の取組事例
透明性の高い根拠資料の提示と顧客ニーズ対応の差別化で適正価格取引を実現
- ブランド力向上
- 交渉の工夫
- 取引関係の改善
公開日
取組のポイント
- 塗料主原料の価格が30%上昇、円安影響も大きく経営健全性維持が喫緊の課題に
- 単価構成の計算表で透明性を確保、価格下落時も正直に伝え信頼関係を構築
- 原材料費は20年間で100%転嫁、エネルギー・輸送費も2023年から100%転嫁を実現
価格交渉・価格転嫁を行うきっかけ/ 企業で抱えていた課題
きっかけは、原材料費とエネルギー費の継続的な高騰でした。最近5年間で鉄は2倍、塗料の主原料であるナフサ(プラスチックや化学製品の原料として重要な役割を持つ液体炭化水素)は約30%も値上げされ、円安の影響も大きく受けました。
さらに電気代やガス代のエネルギー費、輸送費も高騰しており、金属・プラスチック塗装という事業の性質上、これらのコスト増は製品価格に直結します。
主な取引先が大手建設機械メーカー等5社というBtoB(Business to Business:企業が企業に対して商品やサービスを提供する、企業同士のビジネス)取引の環境下で、適切に価格転嫁を実現し、経営の健全性を維持することが喫緊の課題となっていました。
取組を行った内容
価格交渉では、透明性の高い根拠資料の提示と誠実な対応を重視しました。
製造するキロ数を投入すれば単価構成が計算できる計算表を作成し、発注者にその計算結果を見積書として提示。原材料費やエネルギー費が下がった時は正直に伝え、金額を下げた見積書を提出することで信頼関係を構築しました。
価格変動がある都度交渉を行い、揉めるときはトップが交渉の場につき、「赤字になるなら撤退する」という覚悟で交渉に臨みました。
同時に、静電・電着・粉体・耐熱などに対応する10本の生産ラインを有し、大手メーカーの顧客ニーズに対応。お客様の”便利さ”を追求し、高度な塗装技術の提供に加え、付加価値の高い板金加工作業、取引先の組立作業短縮につながるモジュール(交換可能なひとまとまりの機能を持った部品)での納品なども行い、他社との差別化を図りました。
取組を行ったことにより得られた効果
これらの取組により、原材料費は約20年前から100%価格転嫁を実現しており、エネルギー費や輸送費も2023年から100%転嫁できるようになりました。
人件費については2023年に交渉を行い、概ね100%の転嫁にご協力いただきました。また、今後もご相談させていただくことで合意しております。
価格変動に応じた見積もり提出と信頼関係の構築により、発注先との長期的な関係を維持しながら価格転嫁を達成することができました。
「良い会社は、良い品質のものを適正な価格で売れる会社」という理念のもと、今後も発注者にとって”便利”な会社であることをさらに追求していきます。
株式会社渡辺工業
株式会社渡辺工業(滋賀県長浜市)は、1930年創業の工業用塗装および金属加工を主軸とする企業です。 建設機械や農業機械向けの外装部品、エンジン部品などの塗装を得意とし、材料調達から板金、溶接、組立までの一貫生産体制を構築しています。特に国内屈指の規模を誇る塗装ラインを保有し、大手メーカーのサプライチェーンを支える重要な役割を担っています。
- 所在地
- 滋賀県長浜市新栄町655番地
- 業種
- 製造業

