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価格交渉・価格転嫁の取組事例

営業利益率マイナス60%から30%へV字回復、精緻な原価計算と経営改善で実現した価格転嫁

  • コスト上昇調査
  • コスト見直し
  • 労務単価調査
  • 競合調査

公開日 

取組のポイント

  • 売上は横ばいも営業利益が悪化、減価償却・人件費の固定費負担が重く改善を決断
  • 1杯・1皿の詳細な原価計算で主力・人気商品の原価割れが判明、経営方針や仕組みを改善
  • 経営改善をやり切った上で44商品を15%値上げ、営業利益率マイナス60%→30%で収益性を回復

価格交渉・価格転嫁を行うきっかけ/ 企業で抱えていた課題

価格見直しを決断したきっかけは、世間が値上げする中で常連客から「値上げしなくて大丈夫か?」と心配されたことでした。

店主とパート従業員1名で運営していましたが、コロナ禍以降赤字が続き存続の危機に陥っていました。売上推移を見ると、2018年から2021年にかけて売上高は横ばいでしたが、営業利益は2018年から2021年では悪化していました。

売上総利益率も低下し、雑収入がなければ経営が成り立たない状況でした。減価償却費と人件費という固定費負担が重く、単に値上げ価格を設定するだけでは解決できず、抜本的な経営改善が必要な状態です。

この状況を打開するため、専門家の支援を受けながら経営全体の見直しを取り組むことを決断しました。

取組を行った内容

まず、全メニューの1杯・1皿の詳細な原価計算に取り組みました。製造業で用いる原価管理手法を応用し、「1ロットの材料費×歩留り+経費(エネルギー・設備使用を含む)+製造の作業時間×時給」で1ロットの原価を算出し、それを1ロットの製造数で割り、さらに「1杯・1皿の提供時間×時給」を加えるという方式で、材料・経費・工数のすべてを考慮した精緻な原価計算を実施しました。

この原価計算により、原価割れしている商品、特に主力・人気商品の問題点に気付き、各商品間での利益率のバラツキとその要因を明確にしました。そして、数値(金額・単価)を見て改善の意識を高めました。

次に、珈琲の焙煎に工数がかかりすぎて失敗ロスで採算割れしていた問題については、焙煎装置が小型で非効率的かつ外部環境の影響が大きいという真因から、自家焙煎を一旦中止し信頼できる業者より焙煎豆を仕入れることにしました。

さらに、軽食の一部メニューでほぼ採算割れしていた人気メニューについては、仕込み・調理に工数がかかっているという真因に対し、他社調査を行い調理方法を研究し調理工数を削減しました。これらの経営改善をやり切った上で、商品の価格転嫁を実施しました。

取組を行ったことにより得られた効果

価格転嫁の実施により、44商品の単価平均15%アップを実現し、売上高営業利益率がマイナス60%から30%へと劇的なV字回復を達成しました。固定費の負担が低減され収益性が大幅に改善しただけでなく、ワークライフバランスも改善し疲労・心労が軽減されました。

珈琲については、収益性が回復した後、無理のない範囲でデータを取りながら自家焙煎を徐々に復活させることができました。人気メニューについても、採算改善に加えて作業の平準化と工数低減を実現しました。

さらなる展開として、絶好のロケーションへ移転し、新店舗ではセルフ対応のレイアウトを導入しました。移転オープンで新メニューを開発し、マスコミやSNSで話題となって客数が増加しました。

従業員も復職し、販売機会の損失を削減するとともに、営業・勤務時間を最短にしました。新メニュー開発では歩留りと手間を改善し、原価計算と利益に基づいて価格設定を行うという、改善ノウハウを活かした経営を継続しています。

問題点を自覚し解決に強い意志を持ったこと、そして経営努力を続けたことが、この成功につながったと思っています。

株式会社Y社

業種
宿泊業、飲食サービス業