価格交渉・価格転嫁の取組事例
顧客の立場になり協力を惜しまず、事業領域の拡大にも取り組む
- コスト上昇調査
- 労務単価調査
- その他
公開日
取組のポイント
- 顧客のTier1向け提出資料を支援し協力姿勢を表明
- 担当から役員まで階層的に面談し交渉状況を把握
- Tier2へのポジションアップを狙い事業領域を拡大
価格交渉・価格転嫁を行うきっかけ/ 企業で抱えていた課題
私たちは工業用部品、主に自動車向けの製造を行っています。
原材料費の高騰、エネルギー価格の上昇、人件費の高騰により、収益性の悪化、設備・システム等への新たな投資の必要性、従業員のモチベーション低下、経営戦略の転換が経営課題となっていました。
自動車業界では、材料価格に関しては過去より毎年10月・4月に価格調整を行っており、基本はフォーミュラー(売買契約において定める一定の価格公式)による自動調整ですが、最近は是正と言われるフォーミュラー以外の交渉が中心になっています。
エネルギーコストや労務費は自動車業界からの計算式で決定されるケースが多く、業界特有の価格交渉の仕組みがあります。競合他社の価格転嫁の動きや、政府や業界団体の呼びかけもあり、私たちから発注元企業に対して価格交渉を申し入れることを決断しました。
取組を行った内容
価格交渉に向けて、原材料費や労務費のデータを収集し、原価計算を実施しました。
書面での交渉申し入れと説明資料の作成を行いました。特に工夫した点は、私たちの顧客(Tier2)がTier1へ提出する資料の提供を行ったことです。具体的なエビデンスや仕入先がその金額を申請してきた根拠となる資料を準備しました。
ただし、根拠の資料はノウハウも絡み入手が困難でした。同業他社との意見交換やインターネットでの情報収集を行い、発注元からの直接の情報提供も活用しました。
階層的に担当レベル同士の話から役員クラスまで面談(雑談)の中でTier1との交渉状況などを確認し、支援資料の準備などにつなげました。仕入先からの値上げ申請額まとめ表(影響額把握)や、仕入先からの値上げ申請書類のコピー提出など、具体的な資料を作成しました。
また、顧客開拓を進める中で、現在の業界でのポジション(Tier3、Tier4)からTier2へのアップを狙い、事業領域の拡大にも取り組みました。
Tier1:OEM(車両メーカー)に直接部品やシステムを供給するサプライヤー
Tier2:Tier1サプライヤーに部品や材料を供給するサプライヤー
Tier3:Tier2サプライヤーに部品や材料を供給するサプライヤー
取組を行ったことにより得られた効果
価格転嫁が実現し、売上の増加、従業員の賃上げ、事業拡大に向けた投資、新規販路・顧客の拡大という成果を得ることができました。
また、業界並みの賃上げの実施ができました。ただし、価格転嫁は実際に受けている影響の8割から9割にとどまりました。
今回の価格交渉では、Tier2の顧客がTier1へ提出する資料を支援するなど、サプライチェーン全体での価格転嫁を見据え、顧客の立場に立った協力体制を構築しました。
顧客からも価格転嫁への理解を得やすくなり、結果としてtier3である当社も価格転嫁を実現することができました。
今回の取組を通じて、自動車業界における価格交渉では、サプライチェーン全体を見据えた対応が重要であることを実感しました。
株式会社I社
- 業種
- 製造業

