価格交渉・価格転嫁の取組事例
商品特性に応じた戦略的価格転嫁で品質維持と収益改善を両立
- コスト見直し
- その他
公開日
取組のポイント
- コロナ禍の包装資材高騰と納期遅延で収益性維持が困難な状況に直面
- 内容量削減と直接値上げを商品ごとに使い分け原材料の品質は堅持
- 主力商品は売上3倍に成長、品質維持でコアなファン層の信頼も確保
価格交渉・価格転嫁を行うきっかけ/ 企業で抱えていた課題
価格転嫁に取り組んだ直接のきっかけは、コロナ禍における包装資材の高騰と納期遅延でした。特に包装袋などの資材が入ってこない状況が続き、それに加えて価格も大幅に上昇しました。
私たちは群馬県昭和村という日本一のこんにゃく産地に立地する創業50年の会社ですが、こんにゃく業界全体が厳しい価格競争に直面しており、その影響を顕著に受けていました。
お土産や業務用商品にシフトすることで生き残ってきましたが、資材高騰により、このままでは収益性を維持できないという危機感が価格転嫁の決断につながりました。
取組を行った内容
価格転嫁の方法は商品特性に応じて戦略的に使い分けました。
主力の「かみかみこんにゃく」は、5〜6年前に内容量を60gから50gへ減量することで実質的な価格転嫁を実現しました。一方、「こんにゃくわらび餅」のように包材コストが高く内容量削減では吸収しきれない商品は、2024年4月に定価を600円から700円へ直接値上げしました。
最も重視したのは、商品の品質を守ることです。原材料を安価なものに変更すれば短期的にはコストを抑えられますが、「質が悪くなった」という印象を与える方が長期的には大きなマイナスになると考えました。
こだわりの原材料は維持し、砂糖など最終製品への影響が少ない副資材のみ見直しを行いました。卸先には通達書を作成し、包材や燃料費、固定費の上昇を丁寧に説明して理解を求めました。
取組を行ったことにより得られた効果
1グラム当たりの単価を上げた「かみかみこんにゃく」は利益率の改善に成功し、売上も10年前の3倍に成長しました。
この商品がなければ会社は危うかったと言えるほど、収益の柱として確立できました。
一方、直接値上げした「わらび餅」は売上が2〜3%減少し、600円という価格帯が消費者心理の境目だったことを実感しました。それでも品質を維持したことでコアなファンを失わず、長期的な信頼関係を守ることができました。
取組を行って感じたこと/ 今後取組を行う企業に対してのコメント
価格転嫁で最も大切にしたのは、お客様が商品のどこに魅力を感じているかを見極めることです。食品は味覚で違いがすぐに分かるため、何も告知せず品質を変えると不信感しか生まれません。特にコアなファンほど微妙な変化に気づくため、彼らを大切にするためにも原材料へのこだわりは譲りませんでした。
価格転嫁を考える際は、売上という蛇口から入る水と、固定費・変動費という穴から出ていく水のバランスを全体で捉えることが重要です。また、同業他社と情報交換しながらタイミングを見計らうことも有効でした。
商品の価格はその商品が持つ価値そのものです。お客様に選ばれ続ける妥当な価格設定を、品質を守りながら実現していくことが大切だと考えています。
株式会社北毛久呂保
株式会社北毛久呂保は、こんにゃく芋の生産量日本一を誇る群馬県昭和村に拠点を置く食品メーカーです。1974年の設立以来、三代にわたり伝統的な「樽練り製法」を守りながら、地元産の原料にこだわったこんにゃく製造を続けています。 「うまい、楽しい、おもしろい」を理念に掲げ、定番の生芋こんにゃくから、独自のアイデアを活かした「かみかみこんにゃく」、「こんにゃくジャーキー」、「こんにゃくわらび餅」など、多彩なオリジナル商品を展開しています。伝統食の枠を超えた健康価値を国内外へ発信しており、有名百貨店やホテルへの卸売のほか、海外輸出にも積極的に取り組む、地域密着かつ革新的な企業です。
- 所在地
- 群馬県利根郡昭和村橡久保588
- 業種
- 製造業
- 従業員数
- 13名
- 資本金
- 1000万円

