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価格交渉・価格転嫁の取組事例

顧客別の個別交渉戦略と不採算品撤退の決断で実現した利益率黒字への転換

  • コスト上昇調査
  • コスト見直し
  • 交渉の工夫
  • 市場調査

公開日 

取組のポイント

  • 取引先との日常的なコミュニケーションでメニュー改定時期の情報を獲得
  • 価格転嫁を受入れ可能な企業には社内データを提供し信頼関係を構築
  • 一部品目は受注停止を決断し売上高営業利益率が黒字へと大幅に改善

価格交渉・価格転嫁を行うきっかけ/ 企業で抱えていた課題

価格見直しを決断したきっかけは、取引先からの開発依頼に対して真摯に対応を行ったにも関わらず、開発後の製品が採用(発注)につながらなかったことと、原材料費の上昇を価格転嫁できずに赤字経営に転落したことでした。

売上・利益を回復させるため、当初から行っている冷凍野菜の製造販売に加え、野菜を主原料とした小袋冷凍惣菜の製造販売にも参入をしましたが、新事業への進出のみで経営を健全化させることは難しく、更なる施策が必要でした。

取組を行った内容

まず、中小企業診断士協会に相談し、2ヶ月をかけて顧客別原価と目標値上げ率を計算しました。また並行して、社内生産体制の見直しと取引先の動向・ニーズ把握に取り組みました

取引先の動向・ニーズ把握では、取引先との日常的なコミュニケーションを行い、メニュー改定の時期や商品選定会議の内容などの情報を得るようにしました。

また、社内生産体制の見直しでは、コスト管理の強化、生産性の向上、人員配置や生産工程の見直しを実施しました。

価格交渉においては、取引先ごとに交渉の仕方を変える戦略を採用しました。ある程度の価格転嫁を受け入れていただけそうな企業には15%アップを目標に社内データを提供し、説得力のある根拠を示すことで、透明性・公正性により信頼関係を構築

それ以外の企業についてもキーマンの意向を汲みながら、価格上昇率や商品品質トレーサビリティ(トレーサビリティ:原材料・部品の調達から加工、組立、流通、販売の各工程で製造者・仕入先・販売元などを記録し、履歴を追跡可能な状態にしておくこと)を強調し、自社の強みと付加価値を明確に示しました。

取組を行ったことにより得られた効果

価格転嫁の実施により、取り扱っている合計29品目のうち、18品目について9%値上げを実現し、5品目については無理な交渉をせず受注停止(撤退)を決断しました。

さらに、販売量については11%の増加を達成し、全体で約5千万円の売上高増加を実現しました。売上高営業利益率は2025年の0.4%の赤字から2026年予想で5%の黒字へと大幅に改善する見込みとなりました。

また、価格転嫁の取組を機に入金・支払いサイトの見直しを交渉し、入金サイトと支払サイトのミスマッチを解消することで運転資金がプラスに転じ、毎月の資金繰り不安からの脱却を果たしました。

今後の課題として、人材確保・人件費高騰への対応があり、将来展望として価格転嫁の頭打ちを見据えたビジネスモデルの転換やM&Aも視野に入れているため、今後も継続的な価格交渉の取組が必要だと考えています。

株式会社F社

業種
製造業