価格交渉・価格転嫁の取組事例
原材料高騰をチャンスに 共感を呼んだ価格改定と顧客との絆づくり
- コスト上昇調査
- ブランド力向上
- 交渉の工夫
- 市場調査
- 品質向上
取組のポイント
- 価格転嫁前の生産性向上による自社努力
- ブランドストーリー再構築で付加価値訴求
価格交渉・価格転嫁を行うきっかけ/ 企業で抱えていた課題
価格交渉に踏み切った最大のきっかけは、原材料の著しい高騰でした。特に主力商品の原料である冷凍液卵は、2021年の290円から2023年には500円へと172%も上昇。このコスト増は自社のコスト削減努力だけでは吸収できず、収益を深刻に圧迫しました。企業の存続のためには、製品価値に見合った価格へ改定することが不可欠であるという判断に至り、価格転嫁に踏み切りました。
取組を行った内容
価格転嫁に先立ち、まず自社努力として人時生産性の向上に着手し、人件費率を17%から10%へ低減させました。その上で、さらに価格交渉においても単にコスト増だけを理由とせず、高付加価値を訴求した戦略を採りました。顧客の声をもとに「国産であること」や「生産性向上への取り組み」といったブランドストーリーを再構築。緻密な原価計算で必要利益を確保した上で、その付加価値を価格に反映させるという、説得力のある交渉準備を進めました。
取組を行ったことにより得られた効果
価格改定により、ポテトアップルパイは780円から1,380円(176%)へと、一商品あたりの収益性が大幅に向上しました。これは、商品のストーリー性を見直し、ブランド価値を高める戦略が功を奏した結果です。この取り組みは新たな顧客層の獲得と従業員の士気向上にも繋がり、単なる値上げではなく、収益性と長期的なファンづくりの両立という好循環を生み出すことに成功しました。
取組を行って感じたこと/ 今後取組を行う企業に対してのコメント
販売を継続するため重要なのは、ファンを増やすことです。今回、ブランド価値を高めるという取り組みの中で、お客様の中から、私たちのものづくりに対する考え方に共感・共鳴してくださる方が増えてきました。自分たちの商品やサービスに自信を持ち、お客様に最も伝えたい点を徹底的に尖らせて突き抜けさせること。そして、お客様から『この会社はこれに関しては一番だ』と認められるような商品を作り出す努力をすることが、生き残っていく一番のポイントだと感じています。
白ハト食品工業株式会社
白ハト食品工業株式会社は、さつまいもの生産から加工、販売までを一貫して行う「6次産業化」を推進しています。基幹ブランド「らぽっぽ」でのスイートポテトや大学芋の販売に加え、ECサイトの運営、道頓堀コナモンミュージアムなどのフードテーマパーク事業も展開。「お客様に夢と元気を」を理念に、さつまいもを通じた多様な事業でお客様に“小さな幸せ”を届けています。
- 所在地
- 大阪府守口市京阪本通1-4-10
- 業種
- 卸売業、小売業
- 従業員数
- 1,036名(2023年6月時点) ※グループ計 正社員:126名
- 資本金
- 45,000,000円

