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価格交渉・価格転嫁の取組事例

市場特性を再分析 「価値の再定義」で叶えた価格転嫁

  • ブランド力向上
  • 交渉の工夫
  • 市場調査

取組のポイント

  • 市場分析を実施し、商品価値の再定義
  • 具体的な価格改定プランによる大幅な価格改善の成功

価格交渉・価格転嫁を行うきっかけ/ 企業で抱えていた課題

原料価格の急激な上昇が価格見直しの主要な動機となりました。2020年以降、輸入大豆価格は2.2倍、大麦価格は2.6倍という水準まで高騰し、醤油の主原料における原価率が142%上昇するという深刻な状況が発生しました。この原料コスト増により、従来の価格体系では全体収益の大幅な悪化が避けられない状態となっていました。

さらに、麦味噌および醤油の市場において消費量の減少傾向が続いており、売上数量の面でも下押し圧力がかかっていました。特に麦味噌は九州地域特有の食文化として根付いているものの、全国の味噌生産量に占める割合は2.8%と限られており、スケールメリットを活かしにくい市場環境でした。これらの複合的な要因により、価格政策の抜本的な見直しが経営上の急務となりました。

取組を行った内容

価格改定に向けた取り組みは、社内効率化から始まりました。発酵食品特有の賞味期限の長さという特性を見直し、製造部門が主体となって生産スケジュールの最適化を図りました。

並行して経営陣が長期経営戦略の策定に着手し、九州市場の特性分析と自社の規模の経済性を詳細に検討しました。この分析結果を踏まえ、従来の製品ラインを基盤としながら新たなジャンルへの商品展開を決定。具体的には味噌市場からスパイス市場への参入を推進しました。価格交渉においては、専務取締役が交渉責任者として前面に立ち、「価値の再定義」というコンセプトで臨みました

麦味噌については地域資源としての独自性を、粉末味噌については自社独自技術による応用性と保存性の高さをアピールポイントとして設定。業務用市場や海外市場に対して、従来とは異なる調味料としての新たな用途提案を行いました。

取組を行ったことにより得られた効果

価格改定の結果、麦みそは2012年の456円/kgから2023年には720円/kgへと57%の価格上昇を実現しました。粉末みそについては約5,000円/kgという価格設定で、694%の大幅な価格改善を達成しています。また、商品単価の向上に加えて限界製造量を踏まえた利益額の改善にも成功しました。既存の設備と技術を最大限活用することで、大規模な設備投資を回避しながら収益性を向上させることができました。

市場開拓の面では、OEMやプライベートブランド商品としての受注が増加し、顧客層の多様化が進みました。特に粉末商品は物流面でのコスト優位性が評価され、海外バイヤーからの引き合いが活発化しています。これらの取り組みにより、売上・利益の両面で安定的な成長軌道を確立し、原料高騰による収益圧迫から脱却することができました。

取組を行って感じたこと/ 今後取組を行う企業に対してのコメント

経営戦力による判断はマーケティングを行っても、正解不正解の判断はすべて事後となってしまいます。インターネットの発展により多角的な意見は自由に、過剰に発信されているようにも感じられます。どの意見を採用し、行動するのかは経営者にゆだねられているために、毎日眠れない日々を送っている方々も多いように感じます。
行動をし続ける方々にお伝えしたいことは、正解だけを見つけられる方はいないという点です。経営戦略は「1勝 99 敗」と打席に立ち続け、様々なチャレンジをあきらめることなくつき進めた有名な経営者もいるほどです。
私自身もまだ、混迷の時代のなかで「1 勝」をつかめているのか不明な中チャレンジを続けています。一緒にこの危機を乗り切り「この時代を生き残った」という自慢話を後世に伝えていきませんか?

早川しょうゆみそ株式会社

早川しょうゆみそ株式会社は、明治18年(1885年)に創業した、宮崎県都城市を拠点とする老舗の発酵食品メーカーです。地元に根差しながら、140年間にわたり伝統の味を守り続けています。麦味噌や九州醤油、乾燥みそなどの製造を通じて「美味しさ」を追求するとともに、時代に合わせた新たな挑戦にも取り組んでいます。国際的な衛生認証である「FSSC22000」や有機認証「ecocert」を取得し、アメリカやフランスなど16カ国への輸出実績を持つなど、グローバルな事業展開も行っています。

所在地
宮崎県都城市西町3732
業種
製造業