価格交渉・価格転嫁の取組事例
「値上げ」ではなく「価値の刷新」。アッパーミドル層を虜にする非日常空間戦略
- 交渉の工夫
- その他
公開日
取組のポイント
- 地方立地で顧客離れ懸念し防衛的値上げに踏切れず、まず直営店で高収益モデル構築を決断
- ターゲットをアッパーミドル層へ転換、客単価は類似店舗比+60%に向上
- 製造卸とサロンが補完し合う複合的かつ強固な経営基盤を構築
価格交渉・価格転嫁を行うきっかけ/ 企業で抱えていた課題
当社は、これまでサロンで使用する製剤や資材をFC加盟店へ提供する製造・卸売事業を主力としてきました。
しかし近年は原材料費が高騰し、製剤の仕入れコストが上昇。加盟店への価格転嫁も避けられない状況にありました。
一方で、自社で展開するリラクゼーションサロン事業にも課題を抱えていました。高級志向のサロンとして一定の認知は得ていたものの、時間単価は業界水準と大きく変わらず収益性は高くはありません。加えて、人件費や水道光熱費など運営コストも上昇しており、将来の経営リスクが高まっていました。
防衛的値上げが必要と感じつつも、地方立地の店舗では価格を上げることで顧客離れが起きるのではないかという懸念が大きく、判断をためらう状況にありました。
取組を行った内容
主力である製造・卸売事業の収益基盤を強化するためにも、まずはサロン事業の収益性を高めることが不可欠と判断しました。
当社では、FC加盟店へ一斉に価格改定を求めても対応が難しいことから、まずは直営店の時間単価を引き上げるモデルケースづくりに着手。そこで2年前に本店を移転し、アッパーミドル層をターゲットとした空間づくりから全面的に見直しを開始。従来は半個室だった施術スペースを、完全個室を用意し、非日常感を味わえる上質な空間に仕上げました。広さ約20畳のおひとり様専用プライベートルームや、カップル・夫婦・親子で利用できる2名用プライベートルームも用意し、特別な体験価値を提供しています。
これらは以前から寄せられていた「より長く、より深い癒しを受けたい」「周囲を気にせず過ごしたい」といったニーズに応えるための取り組みであり、高めた時間単価に見合う価値を十分に体感していただける環境を整えたうえで、価格転嫁を進めていきました。
取組を行ったことにより得られた効果
価格改定と空間価値の向上により、同じ施術時間でも以前は1人あたり6,000~8,000円が中心だった単価が、現在は10,000円超えが主流となりました。
新規顧客の平均単価は10,500円、リピート客は11,800円と高水準で、類似サロンと比べても約60%高い単価を実現しています。
結果として、リラクゼーションサロン事業の売上は製造・卸売事業を上回るまでに成長し、利益率90%超のサロン事業の構成比が高まったことで、全体の収益性も緩やかに向上しました。
また非日常空間づくりが奏功し、観光客や社員旅行など新たな顧客層が増加。さらに、「癒しを贈りたい」というニーズから2~3万円の高額ギフトカードが売れるようになるなどギフト需要も拡大しています。現在は直営店のみ利用可能ですが、今後全店舗で使用可能となれば、より大きな売上拡大が期待されます。
取組を行って感じたこと/ 今後取組を行う企業に対してのコメント
当社は、製造卸売業・サロン事業・スクール事業の三本柱を持ち、時代の変化に応じて収益性の高い領域へ重心を移してきました。今回の価格転嫁では、安定的な注文がある一方で利益率の低い製造卸売業と、高収益ながらスタッフ確保が必須のサロン事業とのバランスが重要でした。両事業が補完し合うことで収益基盤が強まり、FC本部機能の向上にもつながりつつあります。
また、製剤はネットや理美容ディーラーでは扱わず、限定販路とすることで「ここでしか買えない」価値を維持し、価格競争を避けています。本部・加盟店双方の販売時に効果を発揮する仕組みです。
加えて、本店での定期研修により加盟店オーナーが空間を体感し、「自店もこうした空間にしたい」という意欲向上にもつながっています。製造・卸・小売・サービスを兼ね備えた事業モデルにより、今後も柔軟に重心を移していけると考えています。
株式会社かっさラボ
スマホ首・疲れ目・頭コリ等の不調を軽減する「130°の癒し」を提供するリラクゼーションサロンの運営企業。従来はFC加盟店向け商品の製造・卸売業が主力でしたが、近年の物価高騰を受け、サロン事業に軸足を据えて事業を展開しています。
- 所在地
- 山形市馬見ヶ崎1丁目14番8号
- 業種
- 生活関連サービス業、娯楽業

