価格交渉・価格転嫁の取組事例
政府のガイドラインを活用した 価格転嫁成功術
- コスト上昇データの作成
- 交渉の工夫
- 市場調査
- 労務単価調査
取組のポイント
- 政府のガイドラインを羅針盤に、論理武装して交渉に臨む
- 社内業務の標準化による、品質向上とリードタイム短縮
- 公的情報と独自調査を組み合わせた、緻密な情報収集術
価格交渉・価格転嫁を行うきっかけ/ 企業で抱えていた課題
私たちは図書館、博物館等公共施設やオフィス向け家具、収納什器の製造販売事業において、原材料費の高騰、エネルギー価格の上昇、物流費の増加、人件費の高騰という複合的なコスト上昇に直面しました。
特に、半導体企業の進出による人件費の高騰は深刻で、従来の価格体系では適正な利益確保が困難な状況となっていました。また、競合他社の価格転嫁という業界全体の流れもあり、収益性の悪化を改善するための対策が急務となりました。
そこで、政府機関の指導やガイドラインを活用した戦略的な価格交渉に取り組むことを決断しました。
取組を行った内容
価格交渉に向けて、原材料費や労務費のデータ収集、原価計算、自社製品の単価計算を徹底的に実施しました。その上で、見積書の形式を見直し、自社の付加価値・差別化要素を再検討しました。
また、業界の価格改定情報を収集し、取引先の業界・業種情報を分析して価格交渉の順序を戦略的に検討しました。特に重要だったのは、下請法や政府機関の指導、ガイドライン、統計データを活用して価格転嫁の必要性を論理的に訴求したことです。
さらに、図書館の端末を活用して業界紙のバックナンバーから原材料費相場の変動推移を収集するなど、きめ細かい情報収集も行いました。同時に、設計仕様の標準化によるリードタイムの短縮と品質の安定化にも取り組み、新市場の開拓も進めました。
取組を行ったことにより得られた効果
これらの取り組みにより、価格転嫁を成功させることができました。その結果、利益確保への道筋を立てることができ、競合先との明確な差別化も実現したと思います。
政府のガイドラインや統計データを活用した論理的な説明により、顧客に対して価格交渉に応じざるを得ない状況を理解していただくことができました。また、設計仕様の標準化による効率化と品質向上により、競争力の強化も実現しました。
ただし、利益確保については道半ばの状況であり、継続的な取り組みが必要であることも明らかになりました。
J株式会社
- 業種
- 製造業

