価格交渉・価格転嫁の取組事例
設備の故障で企業存続の危機に 多角的な視点での交渉で価格転嫁を実現
- コスト上昇データの作成
- 交渉の工夫
- 市場調査
- 労務単価調査
取組のポイント
- 設備故障という経営危機を、多角的な交渉戦略で乗り切る
- 回答期限の設定による、建設的な議論の場の創出
- 発注元からの情報提供も活用した、双方向の交渉術
価格交渉・価格転嫁を行うきっかけ/ 企業で抱えていた課題
精密機械部品の製造を手がけるなかで、原材料費の高騰、エネルギー価格の上昇、人件費の高騰という複合的なコスト増に直面し、収益性の著しい悪化に苦しんでいました。
特に決定的な転機となったのは、顧客専用設備が経年劣化により故障したことでした。この設備故障により、修理費が発生するだけでなく、従来の価格設定では到底採算が合わない状況となり、企業存続のためにも抜本的な価格見直しが急務となっていました。
単なるコスト上昇だけでなく、設備投資とその維持管理費用も含めた総合的な価格転嫁が必要となり、発注元企業に対する本格的な価格交渉に踏み切りました。
取組を行った内容
価格転嫁に向けて、まず原材料費や労務費の詳細なデータ収集を行い、正確な原価計算を実施しました。また、製品単価表を作成して価格根拠を明確化しました。併せて見積書の形式を全面的に見直し、新規に作成した見積書では設備維持費用や修理費用も適切に反映させました。
価格交渉においては、説明資料を丁寧に作成し、発注後の価格交渉の手法やリスクを明確化することで、透明性の高い交渉を心がけました。特に重要な取り組みとして、一応の回答期限を設けて交渉を行うことで、双方にとって建設的な議論ができる環境を整えました。
情報収集においては、インターネットを活用した業界動向の把握に加え、発注元からの直接の情報提供も積極的に活用し、多角的な視点から交渉戦略を構築しました。
取組を行ったことにより得られた効果
これらの取り組みにより、価格転嫁を実現することができました。売上の増加と利益率の改善を達成し、従業員への賃上げも実施することができました。ただし、現在のところ成果は一部にとどまっており、全社的な効果の拡大に向けてさらなる取り組みが必要な状況です。
株式会社Z社
- 業種
- 製造業

