適正取引に向けた望ましいパートナーシップとは~
自動車産業で進む連携と実践
2026年1月1日より、適正取引に関する「中小受託取引適正化法」が施行されます。従来からの取り組みを一段と加速していくためには、サプライチェーンの各層で相互対話が行われ、競争力向上に資する適正取引が推進される必要があります。今回は鼎談の形で、自動車産業において進む委託側・受託側双方による連携・取り組みと、自動車産業全体で目指す好循環に向けた取り組みについて伺いました。
経済の好循環を目指して、適正取引を促進する改正法が施行
このたびの適正取引に関する法改正について、背景やねらいをお聞かせください。
- 小高氏
- 今回、「下請法」が改正され、中小受託取引適正化法、通称「取適法」として2026年1月1日より施行されます。実に二十数年ぶりの改正となった背景には、エネルギー費、資源価格、人件費の上昇など、近年の大きな環境変化があります。これらへの対応は物価高対策にとどまらず、30年続いたデフレからの脱却にも直結する重要課題です。大企業はもとより中堅・中小企業を含むすべての企業で適正取引が促進され、中小企業の隅々にまで賃金上昇の波が及んでいくよう、日本経済全体の好循環につながることを期待しています。
特に認識しておくべき点をご紹介いただけますか。
- 小高氏
- いくつか重要なポイントをご紹介します。まず1点目は、特定運送委託が対象として追加されました。従来は、運送事業者同士の委託のみが対象でしたが、発荷主から運送事業者への委託も対象となります。2点目は、従業員基準の導入です。従来の資本金基準に加え、より実態に沿った判断ができるよう従業員数も要件となりました。3点目として、禁止行為の追加です。協議に応じない、あるいは必要な説明なしに価格を押しつける一方的な代金決定は禁止され、手形取引も全面禁止となります。電子記録債権やファクタリングは引き続き利用できますが、物品等の受領から60日以内に受託側が満額代金を受け取れる場合に限り認められます。
なお、これまでは公正取引委員会と中小企業庁が法執行を担っていましたが、今回の改正で国土交通省、農林水産省、総務省などの事業所管省庁にも指導・助言の権限が付与され、政府一丸となって適正取引の促進に取り組む体制が整いました。
中小企業庁としてはどのような取り組みをされているのでしょうか。
- 小高氏
- 中小企業の皆様が価格転嫁を実際に進められるように、さまざまな支援策を展開しています。たとえば経営相談所である「よろず支援拠点」に、価格転嫁サポート窓口を設けました。「価格交渉の進め方がわからない」「原価計算に取り組めていない」等の悩みに対して、個別にサポートいたします。取引先との困り事がある場合も、ぜひこの窓口を活用してください。
また、2021年9月より年2回のペースで、価格交渉促進月間を実施しています。実施月は3月と9月で、実施後は毎回30万社を対象にアンケート調査を行っています。アンケートにお寄せいただいた声を整理し、業種別の価格転嫁率や委託者リストとして公開しており、さらなる適正化促進につなげているところです。
価格交渉促進月間という言葉を、以前より目にするようになりました。
- 小高氏
- この9月が9回目の実施で、認知は確実に広がっていると感じます。ただし、中小企業は全国に300万社以上あり、まだ十分に届いていない部分もあります。アンケートの回答率は約2割とまだまだ十分とは言えませんので、お手元に届いた際はぜひご協力いただければと思います。改善しようという意欲ある大企業も増加していると感じています。中小企業の「生の声」をきちんと把握し、課題があれば適切に改善していくというサイクルを回し、双方にとってwin-win となる関係をつくっていければと考えています。
徹底推進に向けては、全体への浸透がカギとなる
適正取引に向けてこれまで取り組んできたこと、この局面において力を入れていることを各団体から伺いたいと思います。まずは日本自動車工業会(以下、自工会)における取り組みを教えていただけますか。
- 加藤氏
- 適正取引は以前から重要なテーマと位置づけ、継続して取り組んできました。日本の自動車産業全体にとっては、サプライチェーンに関わる1社1社がしっかり力を発揮することが競争力の源泉です。部品が1つ欠けても自動車はつくれません。事業の継続・発展を支える適正取引の実現はきわめて重要だということを、自工会内では徹底して確認し合っています。そもそも、委託側が強く出るような「上から目線の調達」は間違った姿勢です。本音で話し合えるような関係づくり、取引事業者から相談いただきやすい土台をしっかりつくっていこうとしており、その考え方は自主行動計画の中での仕入先様との協議の「あるべき姿」に反映いたしました。
具体化していくうえでの難しさや工夫という点はいかがでしょうか。
- 加藤氏
- 自動車産業はサプライチェーンの裾野が非常に広く、全体に浸透していく難しさがあります。直接取引をする事業者の先に複数の取引事業者がいて、何階層にも重なっています。階層が深くなるほど価格転嫁率が十分ではないと認識していますが、直接のお取引先を飛び越えた対話はなかなかできません。自動車産業に関わるすべての企業が「共に良い方向に向かえている」と実感できるよう、全体への浸透を意識しながら取り組んでいきたいと考えています。なお先日、私が所属するトヨタ自動車の関連会社が下請法違反の勧告を受けたことについては、深くお詫び申し上げます。結果を真摯に受け止め、現在、再発防止に向けて取り組んでいます。今回の件で改めて痛感したのは、取引先の皆様が声を上げやすい状態こそ何より重要だということです。今回は型取引に関する勧告でしたが、委託側、受託側の双方で確認し合えるような関係性づくりに努めていけたらと思っています。
適正取引と競争力の両立という難しさについてはいかがでしょうか。
- 加藤氏
- 自動車産業はグローバル競争の中にありますが、「安ければよい」では持続的な競争力は得られません。中長期的な競争力を確保するには、原価を共につくり込むような取り組みが非常に重要だと思っています。
日本自動車部品工業会(以下、部工会)においても適正取引に取り組んでこられたと思いますが、ここまで道のりと、今力を入れていることを教えてください。
- 齋藤氏
- 適正取引は日本経済の好循環をつくるうえで極めて重要なテーマだと捉え、自動車産業全体での実現を目指して進めているところです。部工会会員企業は、自動車メーカーに対しては受託者でありながら、各々のサプライヤーに対しては委託者となる立場で事業をしています。いわばサプライチェーン上の結節点として重要な役割を担っている立場といえます。その中で重要なのは、1社1社が自らの「襟を正す」行動です。まず委託者として自らの取引先に適正な価格転嫁を実施する。その上で、受託者として委託側とはきちんと向き合い、適正な価格転嫁を求めていく。この流れをつくるために、情報発信や道具作りなど会員企業への啓発に数年前から力を入れてきました。加えて、物価や材料価格の推移を可視化するツール整備や、会員各社が実践している価格交渉の事例集作りなど、実務に役立つ支援にも取り組んでいます。
四百数十社にのぼる会員企業がいらっしゃいますが、適正取引への対応状況はいかがでしょうか。
- 齋藤氏
- 自工会の加藤さんから「浸透の難しさ」という話が出ましたが、私たちも同様に感じています。トップ主導で積極的に進めている企業もあれば、まだ十分な活動に至っていない企業もあり、二極化が進んでいる印象です。これは自動車総連(全日本自動車産業労働組合総連合会)およびJAM(ものづくり産業労働組合)や、素形材団体等との懇談会でも取引先によって対応の差が生じていると聞くところで、全体に認識が広がるよう、働きかけを続けているところです。
自工会・部工会で密に連携し、取引慣行の課題を1つずつ改善
適正取引の浸透に向けて取り組まれていることを教えてください。
- 加藤氏
- 政府方針を受けて、自工会、部工会とも2017年に自主行動計画を策定しました。さらに2023年には両団体で「徹底プラン」をつくり、連携を強化しています。原材料費、エネルギー費の高騰をどう反映していくか、昨今は労務費をどうしていくべきかといった点も主要議題として取り扱いながら、双方で議論し、指針等を通じて反映をはかっています。たとえば労務費については、政府の指針(「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」令和5年11月29日)が出されましたので、自主行動計画への反映や周知を進めているところです。
- 齋藤氏
- 自動車業界における固有の取引慣行については、自工会と部工会共同で改善策の実行と、更なる推進としての課題や対応策の深掘りをしています。その1つが実務リーダー同士の月次ミーティングです。「この取引の方法は適正なのか」「この実態を変えるにはどうしたらよいか」と、1つひとつ丁寧に検討し、マニュアル等に落とし込んでいます。さらに部工会としては、会長・副会長が会員各社に赴いて部工会の取引適正化の取り組みを説明するという、草の根型の活動も始めました。これまでも発信には力を入れてきましたが、書面だけではなかなか伝わりません。直接伝えていくことで皆様に認識を深めてもらい、気がかりとなることには寄り添いながら、徹底していくための対話を続けています。
双方の正副会長懇談会の開催など、現在、連携を一段加速しているように見えます。どのように連携強化が進んだのでしょうか。
- 加藤氏
- 両会の本格的な連携は、2022年の12月に始めました。部工会の皆様が困りごとを抱えていることが見えたため、「一度、ひざ詰めで話し合おう」とお声がけしたのがきっかけです。そこから自工会の調達部会と、部工会のサプライチェーン部会の連携が本格的に始まりました。本音で話し合う場はこれまでほぼありませんでしたので、かなり画期的な取り組みを始められたと思っています。
- 齋藤氏
- 正副会長懇談会は2024年7月に初回を開催し、これまでに3回実施しました。自工会会長の呼びかけによるもので、部工会としても非常にありがたい取り組みです。どうしても同じ立場では話しにくいというのが従来の関係性でしたが、サプライヤーとの向き合い方そのものが大きく変わってきたことを実感しています。具体的な課題をトップ同士が話し合うことで、その後の活動もより一層具体的な取り組みとなって展開されています。
- 加藤氏
- 両会が共通の課題を抱えていることが、距離を縮めたと思います。価格交渉促進月間の話がありましたが、初期は特に、自動車業界の結果が芳しくありませんでした。価格転嫁と型取引という改善課題は見えていたのですが、具体的にどう進めるかに模索していました。特に型取引においては、取引先側で資産管理をしているケースもあり、委託元からするとどのように連携をはかればよいかが悩ましい点です。価格転嫁においても労務費や運送費の転嫁等、適正取引に対するレベルを順次上げていく必要性を感じており、必然的に連携が進みました。
自動車業界における取り組みをいくつか伺ってきましたが、中小企業庁としてどのように捉えていますか。
- 小高氏
- 自動車業界で勧告事例が出ていることは遺憾に思っています。その上で申し上げれば、価格交渉促進月間のアンケート結果などを見ると、改善の兆しも見えてきています。ここまで伺った取り組みは非常に心強く、ぜひ一社一社が強みを発揮できる環境づくりが進むことを期待しています。
なお、トップ層の認識にばらつきがあるとの話がありましたが、コーポレートガバナンス・コードの中には「適正取引」が盛り込まれています。その実務指針では、パートナーシップ構築宣言を行っているかどうか、宣言した内容を実行できているか、現場で実践されているか等が、取締役会の監督項目に入っているわけです。適正取引への対応がトップ層の責務として求められていることを、さらに周知できればと感じます。
サプライチェーンの隅々に伝わるよう、各地に出向いて対話
サプライチェーン全体に浸透していくうえで、愛知県、広島県、群馬県など、自動車関連事業者の集積地域でセ ミナーも行っていると伺いました。各地の経済産業局や商工会議所と部工会が連携し、その地に縁の深い自動車メーカーも参加するとのことで、非常に実のある内容のように感じます。手応えは、いかがでしょうか。
- 加藤氏
- やはり直接お話しすることで、皆様がどのように認識しているかがよくわかりますし、私たちの不足点にも気づかされます。たとえば労務費の扱い方について「説明を聞いて初めて理解した」という声もあり、こうした場で共通認識をつくる重要性を実感しました。手応えの大きい取り組みですので、今後も継続していきたいと考えています。
- 齋藤氏
- サプライチェーンの二次、三次に位置する事業者の皆様は、自動車メーカーの話を直接聞く機会がほとんどなかったと思います。「直接、調達方針を聞けたのがよかった」という声を数多く聞きました。「言っても無理だ」「エビデンスと言われても困る」とあきらめていた方が、「できるかもしれない」「こうしてみよう」と思うきっかけになったのではないかと感じています。こうした意識変化こそが、浸透の一歩目としてとても重要です。
部工会で公開している「価格転嫁ツール」は、エビデンス整理に役立ちそうですね。
- 齋藤氏
- そのようなねらいで整備し、会員に限らずどの企業の方々も利用できるようにホームページで公開しました。活用状況についても把握しており、要望に応じて指標を増やすなどの対応も進めたいと思っています。
- 小高氏
- 部工会に加え、埼玉県の「価格転嫁ツール」が非常に使いやすく活用が進んでいると感じます。また、業種横断で使えるツールとしては、中小企業基盤整備機構でも提供しています。こうしたツールの使い方は「価格転嫁サポート窓口」でも支援していますので、ぜひご相談ください。
一方で、同一委託元に頼ってきた事業者ほど、どう言い出せばよいのか、何を示せばよいのかがわからず、価格転嫁にも至らないという状況が見受けられます。そこを前に進める工夫はございますか。
- 齋藤氏
- 私たちも悩んでいる点ですが、まず、サプライチェーンの上流に立つ事業者が、自らの姿勢を明確に伝えることが第一だと思っています。最近ではお客様が、「御社の先にある取引先の皆様にも転嫁をお願いします」と言ってくれることが増えてきました。すると私たちも、次の取引先に同様に伝えられるようになります。これが順々につながることが、経済の好循環を作り出していく力になると考えています。
自工会・部工会連携で取り組むSSA(Smart Standard Activity-品質・性能基準適正化活動)は、率直な対話のきっかけにもなると感じました。これはどのような活動なのでしょうか。
- 加藤氏
- もともとトヨタ自動車が取引先と行っていたもので、適正品質を追求して競争力あるものづくりを目指す活動です。業界全体で競争力を高めていくことを目指し、自工会・部工会合同の活動に発展しました。あくまで品質適正化がテーマですので、直接価格の話をするわけではありません。ただ、メーカーごとに基準が異なるとサプライヤー側の負担が増え、ひいては適正価格との乖離も出てきます。これを解消していくために合同ワーキングを継続しており、今年12月にも豊田合成様の会場にて開催する予定です。
- 齋藤氏
- この取り組みがユニークなのは、実物を見て判断する「即断即決会」がセットになっていることです。合同ワーキングの場には、複数の自動車メーカーと部品事業者が参加し、その場で現物を見ながら検討、即断していきます。とてもインパクトのある取り組みですので、ぜひ多くの事業者に参加していただきたいと思っています。
- 加藤氏
- 実はこれも、自工会・部工会連携の流れの中で実現しました。昨年立ち上がった正副会長懇談会の場にこの企画を持ち込み、検討してもらったのです。まず乗用車のところでやっていこうということになり、合同ワーキングという形になりました。今後の継続に向けた後押しももらっています。
- 齋藤氏
- 部品事業者側にとっては、非常に期待のもてる活動です。1社で取り組むと「点」にとどまりますが、業界として取り組むと「面」の活動となります。サプライチェーン全体で適切な原価水準を保つことができれば、適正な価格転嫁をしながらも競争力を高めていくことができます。
適正取引と生産性向上の両輪が、成長軌道に向けて欠かせない
サプライチェーンの強靭化について、どのような展望をお持ちでしょうか。
- 加藤氏
- 3つの大きな柱を掲げております。1つ目は適正取引で、価格転嫁はもとより、型取引や運送事業者への転嫁も重視していきます。2つ目は競争力強化で、品質適正化や量変動への対応力を高めていく領域です。SSAもその一環であり、引き続き取り組んでまいります。そして3つ目はカーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーといった領域で、新たな価値づくりや社会要請への対応にも力を入れていきます。
中でも、地道な積み重ねが欠かせないと思っているのが、型取引の適正化です。自動車業界では過去の型が長く保管されることが多く、品番と紐づけた管理が不十分なケースがあります。たとえばトヨタ自動車では、経験値が多い方を招いて一緒に整理を進める取り組みを始めました。こうした基礎固めも、サプライチェーン強靭化の一翼だと思っています。
- 齋藤氏
- 適切な原価水準を目指すSSAに加えて、生産変動をできるだけなくすことも大事です。コロナ禍ではかなり変動が起こり、多くのロスを抱えた会社もありました。ロス低減はサプライチェーン強靭化と密接に結びついています。委託元における平準化はもちろんのこと、自工会・部工会連携の流れを追い風に、情報の透明性、即時性の向上も期待しています。
- 加藤氏
- 平準化については、コロナ禍や東日本大震災のような有事と、重要資源不足といった事態とを考える必要があります。特に重要資源に関しては、資源の産地、精錬国、素材の輸入拠点など、バリューチェーン全体を見る必要があります。部品メーカーの皆様と一緒に実情を学び、双方にメリットのある取り組みを進めていければと思っています。
サプライチェーンの強靭化に対して、政府としての取り組みや産業界へのご示唆を伺えますか。
- 小高氏
- 大きく2つの観点をお伝えします。まず先ほど話題にあがった重要鉱物ですが、過去のレアアースショックを契機に、政府で備蓄や供給源の多角化に向けた働きかけを進めています。経済安全保障の観点でも大事なテーマですので、同志国との連携強化や資源国との関係づくりを粘り強く進めているところです。
もう1つは、適正取引と生産性向上とを両輪で取り組むべきだという点です。生産性向上を通じて稼ぐ力を高め、利益を確保しつつ価格転嫁を実行することが、持続可能性という観点で望ましい姿です。自動車業界は、企業間の壁を超えて生産性向上に取り組んできた実績を多くお持ちだと思います。その強みをさらに伸ばしていくことを、期待しています。
ただし日本経済には、国内投資が足りていないと思っています。カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーといった課題を成長に変えていくにも、投資が必要です。特に、高市政権で示された17の重点分野、8つの横断的分野での投資が加速していくよう、政府としても力強く後押ししていきたいと思っています。
さらなる周知をはかりつつ、実効性を高めていく
最後に改めて、適正取引の推進に向けたコメントをお願いいたします。
- 加藤氏
- 1月から取適法が施行されますが、実効性をもたせるには内容が十分に周知され、「しっかり守っていく」という認識が業界全体で共有されることが不可欠です。当社の会長の言葉を借りれば、自動車産業は“550万人の仲間”で成り立っています。1人でも、1つの部品でもおかしくならないように自工会として適正取引を推進し、部工会の皆様とは引き続き連携しながらしっかり取り組んでいきたいと思います。
- 齋藤氏
- まずは部工会の全社に認識してもらえるよう、浸透に力を注いでいきます。同時に、今、語られた“550万人”という視点を私たちも意識しています。セミナーやツールなどを会員外へも広く開示しながら、産業全体での促進につなげていきたいと思っています。「委託元が何とかしてくれるだろう」と思っている人がいるかもしれませんが、やはり自ら変わろうとする意識が何より重要です。個々の会社が強みを生かしながらサプライチェーンの結節点として、生産性向上と適正取引の両輪で産業の成長に寄与していけたらと考えています。
改正法施行に向けて、また自動車業界の今後に向けて、小高様からメッセージをお願いいたします。
- 小高氏
- 2026年1月1日からの取適法(中小受託取引適正化法)ならびに振興法(受託中小企業振興法)施行に向けて、国として47都道府県での説明会や、オンラインでの取引適正化講習会等を実施しているところです。引き続き改正内容について周知を図っていくとともに、その実行を促進していきたいと考えています。
30年続いてきたデフレ経済から脱却し、経済成長の好循環を実現するためにも、全国津々浦々で適正取引が推進されていくことが欠かせません。
本日お話を伺った自動車産業は、日本のものづくりを支え、日本経済を牽引する産業です。だからこそ適正取引を徹底し、業界全体に広がる姿を示していただくことを期待します。経済産業省、中小企業庁も一緒になって歩みをしっかりと進めていきたいと思っています。

