価格交渉・価格転嫁の取組事例
顧客別原価の細かな計算と個別アプローチで実現した営業利益率の改善
- 交渉の工夫
- 市場調査
- 支援機関サポート
- ツール利用
公開日
取組のポイント
- 顧客別原価と目標値上げ率を細かく計算し収支把握と目標価格を設定
- 各顧客の経営状況をヒアリングし各社の特性に合わせたアプローチを実施
- 入金方式の変更で運転資金がプラスに転じ資金繰り不安から脱却
価格交渉・価格転嫁を行うきっかけ/ 企業で抱えていた課題
価格見直しを決断したきっかけは、知り合いの複数の社長が価格転嫁交渉を行い利益率を改善していたことを知り、自社の利益率低下に危機感を抱いたことでした。
一時は倒産の危機だった状況を、優良顧客3社を抱えることにより脱することができておりましたが、当時の条件を継続しているままでは再び経営不振に陥るという強い危機感から、その3社への価格交渉が必須の状況となりました。
取組を行った内容
まず、中小企業診断士協会に相談し、支援を受けながら内部資料の作成に着手しました。
2ヶ月をかけて顧客別原価と目標値上げ率を細かく計算し、中小企業庁の価格転嫁ツールも活用して収支把握と目標価格の設定を行いました。それに加えて、各顧客の経営状況や事業方針、価格変更可能なタイミング(年度末か発注何ヶ月前か)、社内のキーマンや決定権者、予算状況などのヒアリングを行い、交渉のための資料を整えました。
また、実際の交渉では、原価を細かく把握すること、価格以外の交渉ネタを用意すること、日本銀行企業物価指数などの客観的なデータと比較すること、相手の動向も確認すること、そして粘り強く真摯に対応することを重視し、各社の特性に合わせたアプローチを行いました。
取組を行ったことにより得られた効果
価格転嫁の実施により、売上高営業利益率が2022年の1%から2024年には4%へと大幅に改善しました。
また、価格転嫁をきっかけにした仕組みの見直しにより、入金方式を全額検収後入金から契約時半額入金へと変更できたため、運転資金がプラスに転じ、毎月の資金繰り不安からの脱却を実現しました。
この取組で特に重要だったのは、顧客やエンドユーザーが考えていることの聞き取りを行い、価格以外のポイントを踏まえた個別のアプローチを行ったことでした。
今後の課題として、人材確保と人件費高騰への対応があり、将来的には価格転嫁の頭打ちに備えたビジネスモデルの転換も視野に入れているため、引き続きの価格交渉が必要だと感じています。
有限会社H社
- 業種
- 製造業

