価格交渉・価格転嫁の取組事例
550円でも選ばれる!高付加価値戦略で地域に貢献
- ブランド力向上
- 交渉の工夫
- 品質向上
- 競合調査
公開日
取組のポイント
- 世界一のサービスを目指しホスピタリティと清潔さで差別化
- 温泉ブックカフェ・整体・アカスリ・高級マッサージ機等で小旅行気分を演出
- 指定管理者として役場と良好関係維持しインフラ支援を獲得
価格交渉・価格転嫁を行うきっかけ/ 企業で抱えていた課題
水道光熱費の大幅な上昇が価格改定のきっかけとなりました。温泉施設は一部循環式で湯量も多く使用するため、重油と電気の使用量がかけ流しの施設と桁違いであり、コスト増が経営を圧迫しました。
また、建物が21年目に入り、温泉配管・ボイラーなどの設備経年劣化が進み、大規模修繕の必要性も高まっていました。
さらに、町の人口減少により町民の利用客が減少し、町外からの集客強化も課題となっていました。
取組を行った内容
今年春に温泉料金を500円から550円へ50円(10%)値上げしました。同時に、飲食メニューも1割から2割程度値上げし、全体的な収益改善を図りました。
価格の引き上げにあたっては集客面での不安もありましたが、競合が回転率重視で多くの客を詰め込むのに対し、当施設はホスピタリティと清潔さを追求し、「サービス世界一」を目指しました。
風呂上がりの時間をゆっくり過ごせる空間づくりとして、温泉ブックカフェの設置、羽田空港と同じ高級マッサージ機の導入、2社のマッサージ業者の誘致、アルコールや飲食メニューの充実など、小旅行気分を味わえる付加価値を提供することにこだわり、集客を行いました。
施設は指定管理で運営しており、町役場とは良好な関係を維持しています。昨今の重油等の価格高騰分については、役場と交渉しながら補填していただいています。また、大規模修繕は優先順位をつけてリストアップし、危険度の高いものから順に対応する計画を町と共有しています。
取組を行ったことにより得られた効果
値上げ後も顧客は離れず、むしろ町外からの観光客が増加し、地元6割・町外4割だった比率が逆転しました。売上全体で温泉が32〜33%、物販・お土産が35%を占め、値上げ効果により利幅が拡大しました。業績は着実に伸びており、町への貢献度も高まっています。
宿泊施設が14軒稼働する町内で、各宿の温泉は小規模なため、宿泊客も当施設の大浴場を利用するようになり、相乗効果が生まれました。駐車場が狭い宿の大型バスを預かるなど、地域のランドマークとして宿泊施設との良好な連携も実現しています。
青森県内では次々と温泉施設が閉館する中、当施設は高付加価値サービスの提供により、青森県内で飛び抜けて高い550円という価格でも選ばれ続ける施設となりました。
取組を行って感じたこと/ 今後取組を行う企業に対してのコメント
東北3県の温泉料金は全国と比べて安く、多くの施設が維持管理や後継者不足で閉館しています。この状況を地域の課題として捉え、温泉料金を適正に値上げしつつ、地域に必要とされる企業であり続けることが重要です。価格を上げるだけでなく、高付加価値をしっかりつけた入浴料金として、お客様に納得していただく取り組みが不可欠だと感じています。
当施設では、回転率重視ではなく、ホスピタリティと滞在時間の質を追求することで差別化を図りました。町役場との良好な関係も重要で、指定管理者として業績向上と地域貢献を示すことで、インフラコスト上昇への支援や設備修繕への理解を得られました。
今後も地域とともに、役場やお客様と対話しながら、適正な価格設定と高付加価値サービスの提供を続けていきます。地方の小さな施設でも、ブレずに価値を提供し続ければ、勝ち残ることができると考えています。
プロジェクトおおわに事業協同組合①
青森県大鰐町の地域活性化と「住んで良かったと思える町づくり」を目的に2009年に設立された事業協同組合。大鰐町の財政健全化が課題となる中、指定管理者料0円で地域交流センター「鰐come(わにかむ)」の運営を受託(現在は指定管理料あり)。同施設での温泉、飲食、物販事業を中核に、農商工観の拠点として情報発信やブランド化を推進し、町の振興と雇用創出に寄与している。
- 所在地
- 青森県南津軽郡大鰐町大字長峰字下川原9-92
- 業種
- 生活関連サービス業、娯楽業
- 従業員数
- 45名(パート従業員を含む)
- 資本金
- 出資金:370万円 (組合のため)

