価格交渉・価格転嫁の取組事例
顧客満足度を意識した価値創造戦略で顧客離れを抑制しながら価格転嫁
- コスト見直し
- ブランド力向上
- 品質向上
- その他
公開日
取組のポイント
- セントラルキッチン活用でソース300→100円/kg削減
- ミステリーショッパーで価格以上の価値を追求
- 現場スタッフへ丁寧な背景共有で意識改革を実現
価格交渉・価格転嫁を行うきっかけ/ 企業で抱えていた課題
価格見直しを決断したきっかけは、食材価格の大幅な高騰でした。調味料類(ソース、マヨネーズ、ドレッシング)で6,148品目、加工食品(冷凍食品、海苔)で4,532品目、酒類・飲料で4,801品目、キャノーラ油などの食用油類で205品目という広範囲にわたる値上がりがありました。さらに、法人向けの光熱費負担も急激に増加し、都市ガス単価は2030年に230円/㎥超(現在比40%以上増)という予測が示されました。
さらに配送コストの上昇が重なり、従来の価格体系では健全な事業継続が困難な状況に陥りました。
関東近郊で56店舗を展開する当社にとって、これらの複合的なコスト増は経営を揺るがす重大な課題となり、全社統一での抜本的な価格政策の見直しが急務となりました。
取組を行った内容
まず、原価構成の徹底的な見直しに着手しました。主要食材の使用量を詳細に分析し、食材の置換や仕入先・規格の代替案を多角的に検討し、原価率の改善を図りました。また、複数店舗・メニュー間での共通食材活用を推進し、食材ロスの削減にも取り組みました。
価格交渉においては、「手作りによる本物・本質」の訴求を軸とした価値創造戦略を採用しました。具体的には、ライブキッチンや有田焼・信楽焼の食器使用による非日常空間の創出、限定メニューや有名メーカーとのコラボ商品の開発に注力しました。
さらに、セントラルキッチンやOEMを活用したレトルト化により、特定のソースで300円/kg〜100円/kgのコスト削減を実現し、品質維持と効率化を両立させました。
取組を行ったことにより得られた効果
価格転嫁の実施により、顧客満足度の維持と収益性の大幅な改善を同時に達成しました。ミステリーショッパー調査と自社アプリの構築で「価格以上の価値」を追求した結果、顧客離れを最小限に抑制できました。
具体的には「ハワイアンフルーツパンケーキ」(1,350円→1,690円)や「あばぐら特選コース」(5,000円→7,000円)など、大幅な改定でもお客様の理解を得ることができ、持続可能な収益基盤を強化しました。
収益面では、原価率の適正化によりロスや廃棄を削減。仕入先の集約と共通食材の活用により、調理・発注業務が効率化され、現場スタッフへの丁寧な背景共有により意識改革とコミュニケーションも活性化。人件費率の削減と従業員満足度の向上を両立しました。
取組を行って感じたこと/ 今後取組を行う企業に対してのコメント
単なる値上げ交渉ではなく、改めて「自社のサービスや商品価値」を見直すことで、価格の妥当性を確認すると同時に、全社的にコスト意識や業務効率化の議論を活性化させることが必要であると感じています。
「値上げ=悪」ではなく、社会全体でコストが上昇している中、適正価格で提供することは品質や雇用を守るためにも必要ですが、値上げによる顧客離れを防ぐことが懸念されるため、併せて“価値の向上”をすることが必要であると思います。
株式会社RYコーポレーション
株式会社RYコーポレーションは、「感動創造(Impressive & Creative)」を企業理念に掲げ、食を通じて人々を幸せにすることを目指す飲食企業です。 主な事業は、イタリアン、フレンチ、ハワイアンなど多種多様な飲食店(LA COCORICO、Merengueなど)の経営・プロデュースを軸に展開しています。その他にも、小売販売業、ウェディング事業、EC事業(オンラインショップ)を手掛けています。 一時の流行に左右されず、一軒一軒がその地域にとって価値ある店、街の資産となるような店づくりを目指し、食の楽しさ・喜びを追求しています。
- 所在地
- 東京都品川区東品川2-2-20 天王洲オーシャンスクエア21F
- 業種
- 宿泊業、飲食サービス業
- 従業員数
- 1060名
- 資本金
- 3,000万円

