価格交渉・価格転嫁の取組事例
値札を変えずに単価向上 巧みな商品構成戦略
- コスト上昇調査
- コスト見直し
- ブランド力向上
- 交渉の工夫
- 市場調査
公開日
取組のポイント
- 商品構成調整で値札変えず実質値上げを段階実施
- 忘年会シーズン9月提案でメニュー作成時に新価格
- 国内産稲藁切替えで約30円コスト削減と品質向上
価格交渉・価格転嫁を行うきっかけ/ 企業で抱えていた課題
飼料となる草や藁の価格が従来のほぼ倍に高騰し、月100万円規模のコスト増が発生しました。これに加え、昨年9月からの人件費上昇が年末にかけて顕在化し、さらなるコスト圧迫要因となりました。
ブランド牛を扱う当社にとって、品質を維持しながらの適正価格実現が困難となり、特に卸先への交渉では商品名と価格が固定されているため、戦略的な価格転嫁が急務となりました。
取組を行った内容
初期段階では、商品構成の調整による実質的な値上げを実施しました。具体的には、同じ赤身でも柔らかい部位を1ランク上に配置し、形の悪い部位を下のランクに移すことで、値札を変えずに商品価値を調整しました。また、価格帯では中間層にボリュームを集中させ、低価格帯を上位に移行させる単価調整を行いました。
その後、新商品名での価格改定に転換しました。卸先への対応では、季節戦略を活用し、シーズンごとに商品を入れ替えながら単価を調整しました。特にホテル向けには、忘年会シーズンを見据えて9月に提案し、先方のメニュー作成時点で新価格を組み込んでもらう工夫をしました。輸入冷凍食品については、2ヶ月前に値上げを通知し、計画的な価格変更を実施しました。
また、飼料コスト対策として、中国産稲藁が60~70円と高騰する中、国内産への切り替えを進め約30円のコスト削減を見込んでいます。
取組を行ったことにより得られた効果
商品構成の調整により、顧客に急激な値上げ感を与えることなく実質的な価格転嫁を実現しました。卸先でも段階的な価格改定が受け入れられ、取引関係を維持しながら収益性を向上させることができました。
また、国内産稲藁への切り替えを進めたことで、国内産は消毒が少なく牛の嗜好性も高いため、品質面でもメリットがありました。ブランド価値を活かした海外展開でも、適正な価格改定が受け入れられており、国内外で持続可能な事業運営の基盤を築くことができました。
取組を行って感じたこと/ 今後取組を行う企業に対してのコメント
価格交渉で最も重要なのは、一社だけで先行しないことです。過去にタッチパネルシステムを大手に先駆けて導入した際、顧客がついてこず失敗した経験があります。しかし大手外食グループが導入を始めた後に再導入したところ、顧客が慣れており、スムーズに定着しました。値上げも同様で大手メーカーが値上げする波に合わせて動くことで、取引先も納得してくれる可能性が高くなると感じています。自社だけで頑張っても理解を得るのは難しく、世の中の大きな流れに乗ることがポイントです。
今後の課題は人件費の上昇への対応です。中小企業では大手のように自動化や省人化が難しく、時給上昇がもたらす影響は大きいです。同業の皆様には、市場の動向を見極め、適切なタイミングで価格改定に取り組むことをお勧めします。
株式会社 伊賀牛オクダ
三重県名張市で伊賀牛を専門に取り扱う。伊賀最大級の自社牧場(奥田ゴールドファーム)で伊賀牛を生産し、精肉の小売販売から、焼肉、ステーキ、すき焼き・しゃぶしゃぶなどを提供する飲食店運営までを一貫して手掛ける6次産業を展開。芳醇な香りとコク、とろけるような柔らかさを持つ伊賀牛を提供している。
- 所在地
- 三重県名張市鴻之台2番町134
- 業種
- 卸売業、小売業

