価格交渉・価格転嫁の取組事例
綿密な原価計算と粘り強い交渉で実現した段階的な工数単価引き上げ
- コスト見直し
- 交渉の工夫
- 支援機関サポート
公開日
取組のポイント
- よろず支援拠点を活用し3~4ヶ月かけ綿密な原価計算を実施
- 2024年度7.4%値上げ要望→5.4%引き上げ実現、2025年度8.7%値上げ要望し、段階的交渉を継続
- 公的機関資料活用と複数回の粘り強い交渉で説得力を向上
価格交渉・価格転嫁を行うきっかけ/ 企業で抱えていた課題
きっかけは2024年度の最低賃金引き上げでした。人件費や一般管理費が上昇する中、同じ製品を同価格で納品し続けていたことで、利幅が圧迫され採算が取れない状況に陥っていました。40年以上製造業を営む当社にとって、このままでは経営が成り立たないとの危機感から、よろず支援拠点へ相談しました。
また、取引先の90%を1社が占める構造であったため、価格交渉に踏み切ることは簡単ではありませんでしたが、事業継続のためには避けて通れない課題でした。
取組を行った内容
よろず支援拠点や商工会の助言を受け、自助努力で削減可能なコストを徹底的に見直しました。生産工程の最適化、機械の改善、電力使用量削減など、自社で行える取り組みを進めました。
その上で、削減できない人件費上昇分については、3〜4ヶ月かけて綿密に原価計算を行い、工数単価の見直しを取引先に要望しました。2024年度は7.4%の値上げを要望し、5.4%の引き上げを実現。2025年度は8.7%の原価上昇を具体的な金額で提示し、梱包作業費用の別途請求や副資材費用の負担も提案しました。
交渉は複数回にわたり粘り強く行い、公的機関が発行する資料を活用して説得力を高めました。
取組を行ったことにより得られた効果
2024年度の交渉では、要望した7.4%には届かなかったものの、5.4%の工数単価引き上げを獲得しました。これにより、人件費上昇分の一部を吸収し、利益率の改善につながりました。
また、交渉を通じて取引先との対話が増え、相互理解が深まったことも大きな成果です。さらに、副資材費用について助言を得られるなど、予想外の協力を得られた点も収穫でした。
2025年度の交渉も継続しており、梱包作業費についても一定の理解が得られつつあり、段階的な価格転嫁が実現に近づいています。
取組を行って感じたこと/ 今後取組を行う企業に対してのコメント
価格交渉で最も重要だったのは、綿密な原価計算と粘り強い交渉姿勢でした。また、全国的な最低賃金上昇の流れがあったことで、交渉しやすい環境が整っていました。
交渉方法がわからない事業者にとって、よろず支援拠点や商工会は無料で相談でき、原価計算や交渉資料作成に関する具体的な助言が得られます。交渉は一度で決まらなくても、何度も足を運ぶことで真剣さが伝わるため、諦めず取り組むことが大切です。
さらに、下請法(※令和8年1月1日より新たに「取適法」として施行)の改正など受注側を守る制度も整いつつあり、価格交渉に踏み出す後押しとなります。
有限会社F社
- 業種
- 製造業

