価格交渉・価格転嫁の取組事例
専門家の知恵を取り入れて全コストを反映した見積術
- コスト上昇調査
- 交渉の工夫
- ツール利用
公開日
取組のポイント
- 独自の詳細原価計算表を自社開発しコスト全反映
- 工程ごと価格提示で裏ごし追加等の透明性を確保
- 使用機械の電力差(一般/動力200V)も価格反映
価格交渉・価格転嫁を行うきっかけ/ 企業で抱えていた課題
事業開始当初、原価計算の知識不足から資金繰りが悪化し、資金が減少していく状況に直面しました。食品製造業という薄利な業界において、水道光熱費、人件費、包装資材などあらゆるコストを適切に価格に反映できていないことが根本的な課題でした。
また、OEM事業においても原材料の高騰や包材・運賃の値上げが相次いだため、持続可能な事業運営のためには、緻密な原価計算に基づいた適正な価格設定が不可欠であることを痛感しました。
取組を行った内容
最も重要な取り組みは、独自の詳細な原価計算表を自社で開発したことです。コンサルタントの知識を参考に、水道光熱費から人件費、段ボール、OPPテープ、緩衝材に至るまで、すべてのコストを反映できるExcel表を作成しました。特にOEM見積もりでは、使用食材を仕入れ単位で計上し、廃棄が出ないよう可能な限り使い切りで計算するとともに、特定の商品専用の材料で余りが出た場合はそのコストも商品価格に含めました。
また、工程ごとの価格を提示しました。例えば「裏ごし工程」が追加されればその分の価格上昇を明示し、さらに使用する機械の電力(一般電力と動力200V)の違いも価格に反映させるなど、徹底した透明性を確保しました。新規顧客には都度計算した見積もりを提示し、既存顧客には包材や運賃の値上げ時に見直しを実施しています。
取組を行ったことにより得られた効果
原価計算の見える化により、経営が大きく改善し、正確な利益を乗せることで持続可能な事業運営が可能となりました。自社商品では、原材料価格が5倍近く値上がりした商品について、製造本数を増やすことで単価上昇を抑え、値上げ時も販売店や顧客から理解を得られました。
また、簡易包装の据え置き価格商品と贈答用の高価格商品の2パターンを展開し、消費者に選択肢を提供しました。製造ロットごとに利益を確認する仕組みにより、全体の収益性も向上しています。
取組を行って感じたこと/ 今後取組を行う企業に対してのコメント
原価計算表の作成は労力を要しましたが、応用が効くため非常に役立っています。
重要なのは、実績のある専門家に学び、それを自分のものにすること、そして単に値上げするだけでなく、商品力向上などの企業努力を同時に行うことです。緻密な原価計算に基づいた適正な価格設定の重要性を改めて認識しました。
イーナバリ株式会社
三重県名張市に拠点を置く農産加工製造・販売企業。農産品を主体とした一次加工品(カット、ペースト等)から、レトルト食品、ソース類、ジャム、菓子類まで幅広く製造・販売を手掛ける。小ロットからのOEM(委託製造)にも対応しているほか、地域の加工特産品「隠タカラモノ」のブランド化や、連携型6次産業化の推進にも取り組んでいる。
- 所在地
- 三重県名張市滝之原1050番地
- 業種
- 製造業
- 資本金
- 1,200万円

