価格交渉・価格転嫁の取組事例
顔を合わせて密に交渉 取引先の利益を確保した上での価格転嫁
- コスト見直し
- 交渉の工夫
- 取引関係の改善
公開日
取組のポイント
- 卸問屋・酒販店のマージン率見直しで継続販売促進
- 取引先の利益を既存より高く設定し販売意欲向上
- 直売店での高利益販売に注力し全体利益を改善
価格交渉・価格転嫁を行うきっかけ/ 企業で抱えていた課題
前回の価格改定(2022年)以降、自社努力だけでは吸収しきれない複合的な経費増大に直面し、価格改定を行いました。
主な要因は、酒米・ホップ・麦芽といった主要原料の価格上昇であり、特に輸入原料は為替の影響で3年前と比べほぼ倍に近い価格に高騰しました。また、醸造に必要なエネルギーコストの上昇に加え、瓶・ラベル・段ボールなどの包装資材が毎年10%前後値上がりしました。さらに配送業者の人件費高騰や燃料費増に伴う物流コストの上昇も原価を圧迫しました。
取組を行った内容
単に販売価格を上げるだけでなく、卸問屋や酒販店のマージン率を見直しました。取引先の利益が既存より高くなる単価に設定することで、継続的な販売を促しました。
これと並行して、高利益な直売店での販売にも注力することで、全体の利益向上に努めました。
取組を行ったことにより得られた効果
近年、メールや電話で取引が進む傾向にある中、価格改定の交渉や連絡を直接顔を合わせて密に行うことで、取引先と率直なコミュニケーションを取ることができ、結果的に信頼関係を強めることができました。この信頼関係の強化は、幸いにも新たな販路の開拓にもつながりました。
また、価格改定を進めるプロセスを通じて、社員全体にコスト意識を持たせることができ、無駄を無くすという共通の意識のもと、常に価格に関してシビアな目線を共有できるようになったという効果もありました。
取組を行って感じたこと/ 今後取組を行う企業に対してのコメント
実際に改定を行ってみて、率直に説明すればお客様や取引先は理解してくださるということを実感しました。今後も取引を継続していくために、ご意見やご指摘を受け止めながらも、信頼を守り、良好な人間関係を保つことで継続的な販売につなげていきます。
様々な商品があふれる業界で、なぜ自社の商品を選んでいただけるのかという自社の強みを再認識し、社内で共有した上でそれらを素直に伝えることが、従来の販売継続と新規販路開拓につながりました。このことから、改めて「真摯に誠意を持って伝える」ことの重要性を認識しました。
S株式会社
- 業種
- 製造業

