価格交渉・価格転嫁の取組事例
時代を踏まえてニーズを見直し 「お願いベース」の価格交渉で拓く未来
- コスト見直し
- 交渉の工夫
- 取引関係の改善
公開日
取組のポイント
- 「お願いベース」の対話で従業員の意識改革と関係性を強化
- 時代の変化と顧客ニーズを捉え直した商品価値の再定義
- コスト意識の改革が生んだ、新たな販路拡大への好循環
価格交渉・価格転嫁を行うきっかけ/ 企業で抱えていた課題
価格交渉・価格転嫁を行ったきっかけは「物価高騰」と「コロナ禍での経営不振」でした。ラーメン全体の原価率が44%上昇し、特に主原料である小麦「ゆきちから」の流通価格は、2015年の1トンあたり33,169円から2024年には63,705円と、92%も高騰しました。このように全体の収益が大きく減少する危機に直面し、企業として価格交渉・価格転嫁が必須の状況でした。
取組を行った内容
価格交渉に踏み切るにあたり、まず最初に取り組んだのは、「自社製造の製品・商品の見直し」でした。極端な値上げは避けたいという思いがありましたので、現状の商品にロスとなる部分はないか、仕入れ先や使用する製品の変更はできないか、という部分を検討しました。
具体的には、労働環境が肉体労働から頭脳労働へ、食生活が飽食から健康志向へと変化しているといった「時代の変化と食の関係性」を再認識し、お客様のニーズに合わせる形で現場での食品ロスを減らすために、「小サイズ」や「少なめ」といったサイズダウンも導入しました。
さらに、創業初期からの信頼関係がある業者さんとは密に連携を取りながら、新しい取引業者さんとの交渉も粘り強く行い、各業者さんとの連携強化にも努めました。
そして、価格交渉・価格転嫁を実行する上で、一番のポイントは「お願いベースで熱量を伝えること」でした。ただ値上げをお願いするのではなく、これまでの「お付き合いの積み重ね」に感謝を伝え、「共にこの苦境を乗り切りたい」という強い思いを伝えた上で交渉していました。
取組を行ったことにより得られた効果
価格転嫁を実施したことで得られた効果は大きく二つあります。まず一つは、「従業員の思考変化」です。コスト意識が向上し、「利益ベースで売上を見る」という意識に変わったことで、より効率的な経営を目指すようになりました。
もう一つは、「認知度の向上」です。価格転嫁と同時に新たな販路拡大にも努めた結果、各方面で露出する機会が増え、それが結果として弊社の認知度アップに繋がり、売上の向上を実現できました。
取組を行って感じたこと/ 今後取組を行う企業に対してのコメント
今回の取り組みで大きかった点は長年連携を取っていた各業者、関係者の存在でした。苦しい環境の中、共に時代の変化に立ち向かう意識の共有と再確認ができたことは今後プラスに働くと感じています。 また、このような状況だからこそ今まで見えていなかった視点(ニーズや利益追求など)からアプローチができたのだと思います。 「お願いベース」という交渉方法が、一つの手段としてお役にたてれば幸いです。
株式会社柳家
株式会社柳家は、岩手県盛岡市に本社を置き、現在、岩手県を軸に国内外で10店舗を展開するラーメン店です。創業は1975年で、2007年に法人化し、資本金は300万円、従業員数は40名、年間売上高は約3億円となっております。看板商品は、初代店主が納豆汁から着想を得た「キムチ納豆ラーメン」で、他にも盛岡フェザン店の人気メニュー「はやぶさ」や、コロナ禍をきっかけに力を入れた通販商品なども手掛けております。
- 所在地
- 岩手県盛岡市東安庭3-1-50
- 業種
- 卸売業、小売業
- 従業員数
- 40名
- 資本金
- 300万円

