価格交渉・価格転嫁の取組事例
日銀指数をエビデンスにした交渉から 高収益体質へと転換
- コスト上昇データの作成
- 交渉の工夫
- 市場調査
- 技術力向上
公開日
取組のポイント
- 公的指標(日銀指数)を論拠とし、交渉の客観性を担保
- アジャイル開発による迅速な付加価値創出で、交渉を裏付け
- 組織全体の収益意識を高め、高収益体質へと企業を変革
価格交渉・価格転嫁を行うきっかけ/ 企業で抱えていた課題
原材料費・エネルギー価格・物流費・人件費の高騰、さらには為替変動の影響を受け、収益性の大幅な悪化に直面しました。加えて、設備・システム等への新たな投資の必要性や経営戦略の転換も求められる状況でした。
こうした中、重要取引先から取引に関する困りごとの調査があり、これを機に価格改定の必要性を改めて認識いたしました。
競合他社の価格転嫁や政府・業界団体のからの呼びかけもあり、業界全体での適正価格への見直しが急務となっていたと思います。
取組を行った内容
価格交渉に際し、まず引き合い段階の取引条件確認を徹底し、原材料費や労務費のデータ収集に基づく原価計算を実施しました。同時に、取引先の経営状況や業界動向、さらに価格交渉強化月間の評点まで詳細に調査を完了。自社の付加価値・差別化要素を見直し、業界の価格改定情報を収集した上で、書面による正式な交渉申し入れを行いました。
特に重要な論拠として、日本銀行の物価指数をエビデンスとして活用し、社会的背景と自社の課題を組み合わせた価格改定背景資料を作成しました。また、これと並行して安全機能の開発プロジェクトを立ち上げ、短期間でのアジャイル開発により新たな付加価値を創出し、交渉の裏付けとしました。
取組を行ったことにより得られた効果
これらの取り組みにより、価格転嫁を成功させることができました。その結果、利益率の改善、従業員の賃上げ、事業拡大に向けた投資を実現いたしました。
中でも重要な成果は、営業組織全体が収益性を強く意識するようになり、収益性が低い顧客・案件については受注可否を多面的に検討する体制が構築されたことです。
H株式会社
- 業種
- 製造業

