価格交渉・価格転嫁の取組事例
丁寧な説明による価格転嫁でコストアップ 社員のモチベーション向上に
- コスト上昇データの作成
- 交渉の工夫
- 労務単価調査
- ツール利用
公開日
取組のポイント
- 世界情勢を背景とした丁寧な説明で、企業の約束を果たす
- 納期・品質の向上を約束し、顧客からの信頼を獲得
- 社員のモチベーション向上に繋がる、好循環の価格転嫁
価格交渉・価格転嫁を行うきっかけ/ 企業で抱えていた課題
精密板金を手がける受注生産型の製造業として事業を展開しているなか、原材料である鋼材の価格が異常な勢いで上昇したことで、収益性の著しい悪化に直面しました。これに加え、エネルギー価格の上昇、物流費の増加、人件費の高騰といった複合的なコスト増加により、従来の価格設定では利益確保が困難となっていました。
この状況が続くと、社員のモチベーション低下につながることが懸念され、企業経営の根幹を揺るがすような問題となっていました。
取組を行った内容
価格転嫁に向けて、まず原材料費や労務費の詳細なデータ収集を行い、材料業者や処理業者から原材料の値上がり率を正確に取得して価格見直しに反映させました。その後、当初の価格と現在の価格を明確に比較できる資料を作成し、主にSNSを活用して情報発信を行うとともに、主要製品のコスト上昇分を具体的に提示しました。
また、同業他社との積極的な意見交換により業界全体の価格改定情報を収集し、客観的な根拠を強化しました。
価格交渉の際には、見積書の形式を見直し、新規に作成した見積書と併せて説明資料を作成し、昨今の世界情勢に起因する影響を丁寧に解説することで納得感のある説明を徹底しました。
特に発注元に対しては、納期と品質についてはより一層充実させることをお約束し、コスト上昇についてのご理解をいただくよう努めました。併せて、発注元からの直接の情報提供も活用し、双方向のコミュニケーションを重視した交渉を行いました。
取組を行ったことにより得られた効果
これらの取り組みにより、価格転嫁を成功させることができました。特に重要な成果として、ある一社については約20%のコストアップを実現し、売上の増加と利益率の大幅な改善を達成しました。この収益改善により、従業員への賃上げを実施することができ、懸念していた社員のモチベーション低下を回避するどころか、むしろモチベーションの向上につなげることができました。
D株式会社
- 業種
- 製造業

