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価格交渉・価格転嫁の取組事例

付加価値向上と内製化でつかんだ 持続可能な事業モデルと地域共生

  • コスト見直し
  • ブランド力向上
  • その他

取組のポイント

  • 高付加価値化と地域共生を両立させた持続可能な事業モデル
  • ブランディング強化とコスト構造の抜本的見直しを同時実現
  • 社会貢献と経済効果を両立するサプライチェーンの構築

価格交渉・価格転嫁を行うきっかけ/ 企業で抱えていた課題

価格転嫁を迫られた背景には、複数の国内外要因が重なった原料・包材価格の異常な高騰があります。新型コロナウイルス感染症の流行によるロックダウンや物流制限で国際輸送費が急騰し、ロシア・ウクライナ侵攻では小麦、トウモロコシ、原油・天然ガスなどエネルギー価格が急上昇しました。

さらに2022年以降の急激な円安(1ドル=150円超)が輸入原料や海外製包材の価格を押し上げ、気候変動による農産物供給減や人手不足による労務費・物流費上昇も追い打ちをかけました。当社の主力商品「とろたまぷりん」においては、地場産たまご、栃木県産牛乳、生クリーム、上白糖、バニラビーンズ、容器といった全ての原料・包材に加え、人件費、光熱費、消耗品費まで軒並み高騰し、従来価格での製造継続は難しい状況となりました。「道の駅」という地域の顔として、品質を維持しながら事業継続を図る必要がありました。

取組を行った内容

価格転嫁を成功させるため、「付加価値向上による価格正当性の確保」と「コスト構造の抜本的見直し」を行いました。

まず、付加価値向上・ブランディング強化策として益子焼のミニ釜容器を使用した特別感のある高価格帯商品を開発し、とろたまシリーズを315円から1,250円まで6段階に展開することで、顧客が選びやすい価格帯の幅を創出しました。特に2022年発売の「大釜とろたまぷりん」(1,250円)は、通常の5倍の大きさのプリンが益子焼の釜めし容器の中に入っているという圧倒的なインパクトと付加価値を持った商品となりました。

また、コスト削減では自社農園での玉ねぎ生産により主要原料を内製化し、近隣農家からの規格外品調達と併せて原料費を抑制しました。さらに画期的だったのは、地域の就労支援施設(B型就労支援施設)に一次加工を外注することで、障がい者の働く場創出という社会貢献と、作業人件費率50%削減という経済効果を同時実現したことです。

取組を行ったことにより得られた効果

価格転嫁の実施により、当社は売上高と客単価の大幅な向上を実現しました。2019年度の売上高6億6,464万円から2024年度には9億3,762.5万円へと41%増加し、客単価も1,418円から1,939円へと37%上昇しました。最も重要な成果は、値上げによるマイナス影響が全く見られなかったことです。

主力商品「とろたまぷりん」シリーズは年間販売実績が伸び続け、特に高価格帯の「大釜とろたまぷりん」は2024年に年間38,000個を販売し、年間来場者数80万人の道の駅ましこ全体の収益向上に大きく貢献しました。また、就労支援施設への外注効果として、施設側が経験を活かして独自の加工施設を整備し、当社は安定した加工原料確保を実現するという相乗効果も生まれました。

これらの取り組みにより、単なる価格転嫁を超えた持続可能な事業モデルの構築と地域共生の実現を同時に達成しています。

取組を行って感じたこと/ 今後取組を行う企業に対してのコメント

今回の取組を通して感じたのは、「価格を上げる」ということは、ただ値段を変えるということではなく、「お客様や地域との関係性をもう一度見つめ直す」ということでした。商品の魅力や原料のこと、地域のつながりを丁寧に伝えることで、「それなら納得」「買って満足」と感じてくれるお客様が多く、商品に対する信頼が深まったように感じます。 また、原料の内製化や福祉施設との連携を通して、「地域の力を活かすことが自社の強みになる」ということを改めて実感しました。値上げをきっかけに、地域全体で支え合う関係がより強くなったと思います。 これから価格交渉や転嫁に取り組む企業の皆さんには、「相手に理解してもらうこと」をゴールにするのではなく、「一緒により良い形を探していく」姿勢を大切にしてほしいです。小さな工夫や誠実な対話の積み重ねが、きっと持続可能な関係づくりにつながると思います。

株式会社ましこカンパニー

株式会社ましこカンパニーは、栃木県芳賀郡益子町に拠点を置き、2015年11月25日に設立されました。主な業務内容は、道の駅ましこの管理運営、および道の駅での物販、飲食、加工品の製造販売です。

所在地
栃木県芳賀郡益子町大字長堤2271
業種
卸売業、小売業
資本金
6,000万円